弁護士を頼みたいけど、お金が心配な場合には
1.弁護士に委任すると報酬が高いのでは、という心配される方がよくいらっしゃいます。
弁護士の費用は統一の基準がないので、弁護士によっても違いますし、事件の性質によっても違います。
弁護士に依頼したいけどお金がない、という方のために、法テラスの代理援助制度や日本弁護士連合会の委託援助事業というものがあります。
法テラスとは、正式名称が日本司法支援センターといい、総合法律支援法に基づいて、国民が、民事・刑事を問わず、裁判などの手続をより利用しやすくすることや、法律家による支援をより受けやすくすることを目的として設立された独立行政法人です。
2.代理援助制度について
代理援助制度とは、法テラスが行っている事業で、法テラスが弁護士の費用を立替払いをし、後で法テラスに対して立替払いをしてもらった費用を分割で支払うという制度です。
法テラスの代理援助制度を利用するには、法テラスで無料法律相談を受けて援助が必要と判断される場合と、法テラスと契約をしている弁護士に事件を委任をしてから法テラスに代理援助の利用の申込をする場合があります。
この代理援助制度には、資力要件、民事法律扶助の趣旨に該当することという要件を充たしていることが必要です。
代理援助制度が使えるかどうかは、法律相談時に個別に弁護士に相談して下さい。
法テラスホームページ
3.日本弁護士連合会委託援助業務について
民事事件以外にも、弁護士を雇いたいけれどお金がないときに、日本弁護士連合会が、法テラスに事業を委託して弁護士費用を援助する日本弁護士連合会委託援助業務を利用することができます。この制度は原則的に無償で利用できますが、申込後に被援助者の資力が回復したり、親族の援助を受けられる状態になったなどの事情が生じたときに、例外的に費用の負担を求められることがあります。
また、事件に関して現実的に利益を得て成功報酬が発生するときには、被援助者の負担になり、その他にも着手時の費用や弁護報酬などを被援助者が負担することもあります。
日本弁護士連合会が法テラスに委託している事業には、次のようなものがあります。
i.刑事被疑者弁護援助
自分や家族が刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったので、弁護士を雇いたい場合など援助の対象となる活動~刑事被疑者段階の刑事弁護活動全般
被疑者との接見とアドヴァイス 警察官又は検察官との折衝 被疑者との示談交渉 勾留理由開示請求 勾留・勾留期間延長に対する準抗告など 注意:被疑者国選対象事件(法定刑が長期3年以上の懲役刑又は禁固刑の場合)は、適用されません。
ii.少年保護事件付添援助
未成年者が鑑別所に入れられてしまったので、弁護士を雇いたい場合など援助の対象となる活動~付添人活動全般
少年との面会とアドヴァイス 家庭裁判所との折衝交渉 環境調整 審判への対応 被害者との示談交渉など
iii.犯罪被害者法律援助
犯罪の被害者になってしまった人が援助を必要とする場合注意:援助の対象は、生命・身体等一定の犯罪被害です。財産犯は対象ではありません。
対象となる活動
ア 被害届提出
イ 告訴・告発
ウ 事情聴取同行
エ 検察審査会申立
オ 法廷傍聴同行
カ 証人尋問・意見陳述援助
キ 刑事訴訟記録閲覧謄写
ク 加害者との対話
ケ 刑事手続における和解の交渉
コ 犯罪被害者等給付金申請
サ 報道機関への対応・折衝
シ 以上に係わる法律相談
iv.難民認定に関する法律援助
援助の対象となる活動難民認定の申請手続 異議申立 訴訟代理 以上に関する法律相談
v.外国人に対する法律援助
援助の対象となる活動行政手続の代理等 訴訟代理 以上に関する法律相談
vi.子どもに対する法律援助
子どもが虐待されているので助けて欲しい、学校で体罰やいじめを受けているけど、保護者が解決しようとしない場合など援助の対象となる活動
児童相談所や児童養護施設等の施設との交渉の代理 シェルターへの入所の援助、シェルターから自立的生活への移行への援助 虐待等を行う親との交渉に関する代理、親との関係調整活動 児童虐待事件に関する刑事告訴手続の代理、刑事手続で証人として出廷する子ど もの援助 虐待する養親との離縁や扶養を求める調停や審判などの訴訟代理 以上に係わる法律相談
vii.精神障害者に対する法律援助
援助の対象となる活動入院先からの退院請求 入院先での処遇改善請求の援助 以上に係わる法律相談
viii.心神喪失者等医療観察法法律援助
心神喪失状態(善悪の判断が付かない状態、自分の行動をコントロールできない状態)で刑事事件を起こして、強制的に入院させられてしまった人が、退院を求めたり、入院先での待遇を改善を求める場合援助の対象となる活動
入院先からの退院請求の援助 入院先での処遇改善請求の援助 以上に係わる法律相談
ix.高齢者・障害者・ホームレス等に対する法律援助
援助の対象となる活動生活保護申請 生活保護法に基づき審査請求(生活保護の却下、変更、停止などの処分があって、不満があるとき) 以上に係わる法律相談